@IDX:69800
@OFF:0xe7
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:69801
@OFF:0x119
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:69802
@OFF:0x147
@SPK:
@JPN:　……。
@ENG:

@IDX:69803
@OFF:0x1cb
@SPK:
@JPN:　部屋の窓から差し込む朝日が、ゆっくり動いて顔を　直撃する。
@ENG:

@IDX:69804
@OFF:0x215
@SPK:
@JPN:　瞼にかかる光が、強制的に意識を目覚めに導く。
@ENG:

@IDX:69805
@OFF:0x251
@SPK:
@JPN:　その流れに従って、目を覚ました。
@ENG:

@IDX:69806
@OFF:0x291
@SPK:
@JPN:　体調は、考えるまでもなく悪い。
@ENG:

@IDX:69807
@OFF:0x2bf
@SPK:
@JPN:　疲れは残っているし、胸の奥に塊がつかえたような　嫌な感覚がつきまとっている。
@ENG:

@IDX:69808
@OFF:0x31b
@SPK:
@JPN:　それでも布団から這い出すと、部屋の時計に視線を　移した。
@ENG:

@IDX:69809
@OFF:0x373
@SPK:
@JPN:　……７時半を少々過ぎている。
@ENG:

@IDX:69810
@OFF:0x39f
@SPK:
@JPN:　普段より１０分ほど遅いが、この程度の遅れは楽に　取り戻せる。
@ENG:

@IDX:69811
@OFF:0x3eb
@SPK:
@JPN:　ためらいさえしなければ。
@ENG:

@IDX:69812
@OFF:0x4cc
@SPK:
@JPN:　……案の定、準備を終えたのはいつもと変わらない　時間だった。
@ENG:

@IDX:69813
@OFF:0x518
@SPK:
@JPN:　今から出れば、のんびり着替えができる。
@ENG:

@IDX:69814
@OFF:0x54e
@SPK:
@JPN:　心構えは、むこうに着いてからすればいい。
@ENG:

@IDX:69815
@OFF:0x586
@SPK:
@JPN:　今は一刻も早く、仕事場に向かおう……。
@ENG:

@IDX:69818
@OFF:0x6b7
@SPK:[\protag]
@JPN:　御堂さんですか？　どうぞ。
@ENG:

@IDX:69820
@OFF:0x7b2
@SPK:［真魚］
@JPN:　ゴメンね、先輩じゃなくて……。
@ENG:

@IDX:69823
@OFF:0x808
@SPK:[\protag]
@JPN:　……あれ？　何で真魚がここに……？
@ENG:

@IDX:69825
@OFF:0x86f
@SPK:［真魚］
@JPN:　今日は仕事が夜になっちゃったから、その連絡に来たの……。
@ENG:

@IDX:69828
@OFF:0x8df
@SPK:[\protag]
@JPN:　えっ？　ああ、ありがとう……じゃなくて、何で真魚がそんなことを言いに来るんだ？　御堂さんは？
@ENG:

@IDX:69830
@OFF:0x980
@SPK:［真魚］
@JPN:　分かんない。お休みしたみたいなんだ。
@ENG:

@IDX:69833
@OFF:0x9dc
@SPK:[\protag]
@JPN:　『したみたい』って、連絡とかなかったのか？
@ENG:

@IDX:69835
@OFF:0xa4b
@SPK:［真魚］
@JPN:　うん……。無断欠勤なんてしたことなかったんだけどな……。
@ENG:

@IDX:69838
@OFF:0xabb
@SPK:[\protag]
@JPN:　ひょっとして、なんかあったのかな？
@ENG:

@IDX:69840
@OFF:0xb22
@SPK:［真魚］
@JPN:　分かんないよ。婦長さんも不思議がってたし、どうしちゃったのかなぁ……。
@ENG:

@IDX:69843
@OFF:0xba0
@SPK:[\protag]
@JPN:　そんなに心配することないんじゃないか？　昨日は元気だったんだし、御堂さんだって完璧じゃないんだ。寝坊の一つくらい、たまにはするかもしれないだろ？
@ENG:

@IDX:69845
@OFF:0xc75
@SPK:［真魚］
@JPN:　そうなのかなぁ……。先輩に限ってそんなことはないと思うんだけどなぁ……。
@ENG:

@IDX:69848
@OFF:0xcf5
@SPK:[\protag]
@JPN:　まあ、今ここであれこれ言っても仕方ないだろ。あとで電話でもしてみたらどうだ？
@ENG:

@IDX:69850
@OFF:0xd86
@SPK:［真魚］
@JPN:　うん……。
@ENG:

@IDX:69853
@OFF:0xdc8
@SPK:[\protag]
@JPN:　で、仕事が夜って何時頃になるんだ？
@ENG:

@IDX:69855
@OFF:0xea5
@SPK:［真魚］
@JPN:　え、仕事？　んーとね……確か、６時くらいに準備が終わるって言ってたから……遅くても８時ごろじゃないかな？
@ENG:

@IDX:69858
@OFF:0xf45
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうか……で、連絡は真魚がくれるのか？
@ENG:

@IDX:69860
@OFF:0x102a
@SPK:［真魚］
@JPN:　分かんないけど、このまま先輩がお休みなら私がすると思う。
@ENG:

@IDX:69863
@OFF:0x109a
@SPK:[\protag]
@JPN:　そっか、もしお前が連絡することになっても、この間みたいに忘れたりするなよ？
@ENG:

@IDX:69865
@OFF:0x1129
@SPK:［真魚］
@JPN:　へーき。今度は忘れない。ちゃんと連絡するよ。
@ENG:

@IDX:69868
@OFF:0x118d
@SPK:[\protag]
@JPN:　頼んだからな？
@ENG:

@IDX:69870
@OFF:0x1256
@SPK:［真魚］
@JPN:　うん。頼まれた。
@ENG:

@IDX:69873
@OFF:0x12da
@SPK:[\protag]
@JPN:　ふぅ……また着替えなくちゃいけないのか……。
@ENG:

@IDX:69875
@OFF:0x13e5
@SPK:［真魚］
@JPN:　あ、そうそう……。
@ENG:

@IDX:69878
@OFF:0x142f
@SPK:[\protag]
@JPN:　うどわっ！？
@ENG:

@IDX:69880
@OFF:0x14f6
@SPK:［真魚］
@JPN:　……どうかした？
@ENG:

@IDX:69883
@OFF:0x153e
@SPK:[\protag]
@JPN:　こ、更衣室に入る時は、ノックくらいしろよ！　今、脱ごうとしてたんだぞ！？
@ENG:

@IDX:69885
@OFF:0x1641
@SPK:［真魚］
@JPN:　ゴメンゴメン。伝え忘れてたことがあったからさ。
@ENG:

@IDX:69888
@OFF:0x16a7
@SPK:[\protag]
@JPN:　……まだ何かあるのか？
@ENG:

@IDX:69890
@OFF:0x1778
@SPK:［真魚］
@JPN:　うん。副院長先生が呼んでたよ。何か、大事な話があるって。
@ENG:

@IDX:69893
@OFF:0x17e8
@SPK:[\protag]
@JPN:　大事な話？　……何だろうな。
@ENG:

@IDX:69895
@OFF:0x1849
@SPK:［真魚］
@JPN:　さあ……私も知らない。ちゃんと行ってね？
@ENG:

@IDX:69898
@OFF:0x18a9
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かってるよ。副院長の呼び出しを無視するほど度胸はないからな。
@ENG:

@IDX:69900
@OFF:0x19a2
@SPK:［真魚］
@JPN:　よろしい！　じゃあ、またね！
@ENG:

@IDX:69901
@OFF:0x1a32
@SPK:
@JPN:　今度こそ、本当に行ったらしい。
@ENG:

@IDX:69902
@OFF:0x1a60
@SPK:
@JPN:　ドア越しに、ぱたぱたと足音が響いてくる。
@ENG:

@IDX:69903
@OFF:0x1a98
@SPK:
@JPN:　それが徐々に遠ざかり、全く聞こえなくなってから　着替えを開始する。
@ENG:

@IDX:69904
@OFF:0x1afc
@SPK:
@JPN:　しかし、あの御堂さんが無断欠勤をするとは確かに　意外だ。
@ENG:

@IDX:69905
@OFF:0x1b44
@SPK:
@JPN:　まさか、夏風邪でも引いて寝込んでるなんてことは　ないだろうな……。
@ENG:

@IDX:69906
@OFF:0x1b96
@SPK:
@JPN:　まあ、真魚が電話をするだろうから、どうしたのか　あとで聞いてみよう。
@ENG:

@IDX:69907
@OFF:0x1bfe
@SPK:
@JPN:　それより今は副院長の呼び出しの方が気になる。
@ENG:

@IDX:69908
@OFF:0x1c3a
@SPK:
@JPN:　呼び出されるようなことに、心当たりはない。
@ENG:

@IDX:69909
@OFF:0x1c74
@SPK:
@JPN:　……とにかく、行ってみるしかない。
@ENG:

@IDX:69910
@OFF:0x1ca6
@SPK:
@JPN:　湧き上がる不安をため息一つで追い出すと、急いで　着替えを済ませてバッグを肩に担ぐ。
@ENG:

@IDX:69911
@OFF:0x1d08
@SPK:
@JPN:　ノブに手をかける直前もう一度だけため息をつき、　更衣室をあとにした……。
@ENG:

@IDX:69914
@OFF:0x1e57
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕です……よろしいでしょうか？
@ENG:

@IDX:69916
@OFF:0x1eba
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ、どうぞ。
@ENG:

@IDX:69918
@OFF:0x1fd0
@SPK:［千草］
@JPN:　すまないわね、わざわざ来てもらって。
@ENG:

@IDX:69921
@OFF:0x202c
@SPK:[\protag]
@JPN:　いいえ。副院長に呼ばれたら、来るのが当然です。
@ENG:

@IDX:69923
@OFF:0x209f
@SPK:［千草］
@JPN:　フフフ、随分と口が上手になったわね？　まあいいわ、こっちに来て。
@ENG:

@IDX:69924
@OFF:0x21a2
@SPK:
@JPN:　招かれるまま、副院長の横に立った。
@ENG:

@IDX:69925
@OFF:0x21d4
@SPK:
@JPN:　ここからだと、すらりと形良く伸びた副院長の脚が　よく見える。
@ENG:

@IDX:69926
@OFF:0x2220
@SPK:
@JPN:　香水をつける代わりに香を焚いているのか、僅かに　爽やかな香りが漂っている。
@ENG:

@IDX:69929
@OFF:0x22b6
@SPK:[\protag]
@JPN:　いい香りですね……沈香ですか？
@ENG:

@IDX:69931
@OFF:0x2319
@SPK:［千草］
@JPN:　よく分かったわね？　その通りよ。でも最近の若い人で沈香の香りが分かるって、珍しいんじゃない？
@ENG:

@IDX:69934
@OFF:0x23ad
@SPK:[\protag]
@JPN:　いいじゃないですか……どうせ僕は若さがありませんよ……。
@ENG:

@IDX:69936
@OFF:0x24e6
@SPK:［千草］
@JPN:　バカね……すねることないでしょ？　博識を誉めたのよ。
@ENG:

@IDX:69939
@OFF:0x2552
@SPK:[\protag]
@JPN:　まあ、いいんですけど……それより、なんでしょうか？
@ENG:

@IDX:69941
@OFF:0x265c
@SPK:［千草］
@JPN:　ん？　ああ、呼び出しのこと？　そうね……もしかしたらもう知ってることかもしれないけど……。
@ENG:

@IDX:69944
@OFF:0x26ee
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕の知ってることですか？
@ENG:

@IDX:69946
@OFF:0x274b
@SPK:［千草］
@JPN:　もしかしたらよ。
@ENG:

@IDX:69949
@OFF:0x2793
@SPK:[\protag]
@JPN:　はあ……。
@ENG:

@IDX:69951
@OFF:0x27e2
@SPK:［千草］
@JPN:　御堂さん、病院辞めちゃったんだけど、知ってた？
@ENG:

@IDX:69955
@OFF:0x2860
@SPK:[\protag]
@JPN:…
@ENG:

@IDX:69956
@OFF:0x286e
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:69957
@OFF:0x287c
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:69958
@OFF:0x288a
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:69959
@OFF:0x289e
@SPK:
@JPN:え！？
@ENG:

@IDX:69961
@OFF:0x29a3
@SPK:［千草］
@JPN:　その驚き方だと、知らなかったみたいね。
@ENG:

@IDX:69964
@OFF:0x2a01
@SPK:[\protag]
@JPN:　辞めたって……それはつまり……あの……退職したってことですか？　そんな……何で……。
@ENG:

@IDX:69966
@OFF:0x2a9a
@SPK:［千草］
@JPN:　私にもよく分からないのよ。昨夜私のところに来たんだけど、『一身上の都合』と繰り返すだけで……。
@ENG:

@IDX:69968
@OFF:0x2b3d
@SPK:［千草］
@JPN:　私も正直なところ困ってるのよ……御堂さんは信頼してたし、この看護婦不足の折に正看護婦の補充なんて……責任者としても頭が痛いわ。
@ENG:

@IDX:69971
@OFF:0x2bf3
@SPK:[\protag]
@JPN:　そ、それで御堂さんは今どこに……？
@ENG:

@IDX:69973
@OFF:0x2c5a
@SPK:［千草］
@JPN:　今朝早く部屋を引き払うって言ってたわ。退職後の身の振り方とか、詳しいことは何一つ教えてくれなかったの。
@ENG:

@IDX:69975
@OFF:0x2d05
@SPK:［千草］
@JPN:　仕方ないから、担当は佐伯さんに引き継いでもらうわ。それで構わないかしら？
@ENG:

@IDX:69978
@OFF:0x2d85
@SPK:[\protag]
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:69980
@OFF:0x2dd4
@SPK:［千草］
@JPN:　聞いてる？
@ENG:

@IDX:69983
@OFF:0x2e16
@SPK:[\protag]
@JPN:　えっ？　あ、す、すいません……担当の方はそれで構いません……。
@ENG:

@IDX:69985
@OFF:0x2f2c
@SPK:［千草］
@JPN:　そう？　それじゃ、佐伯さんの方には私から言っておくわ。
@ENG:

@IDX:69988
@OFF:0x2f9a
@SPK:[\protag]
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:69990
@OFF:0x30a5
@SPK:［千草］
@JPN:　……あまり御堂さんのことは気にしないで。看護婦と言っても会社員と変わらないんだから、たまにこんなこともあるのよ。
@ENG:

@IDX:69993
@OFF:0x314d
@SPK:[\protag]
@JPN:　……え、ええ。そうですね、あまり気にしないようにします。
@ENG:

@IDX:69996
@OFF:0x31bd
@SPK:[\protag]
@JPN:　それじゃあ、僕はそろそろ……。
@ENG:

@IDX:69998
@OFF:0x32b3
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ。じゃあまた。
@ENG:

@IDX:69999
@OFF:0x33ac
@SPK:
@JPN:　余程御堂さんのことで頭が一杯だったのだろう。
@ENG:

@IDX:70000
@OFF:0x33e8
@SPK:
@JPN:　気づくとロビーで立ち尽くしている自分がいた。
@ENG:

@IDX:70001
@OFF:0x3436
@SPK:
@JPN:　青天の霹靂。
@ENG:

@IDX:70002
@OFF:0x3452
@SPK:
@JPN:　つい昨日まで御堂さんと働いていたのが嘘のように　思える。
@ENG:

@IDX:70003
@OFF:0x34ac
@SPK:
@JPN:　一身上の都合……。
@ENG:

@IDX:70004
@OFF:0x34ce
@SPK:
@JPN:　それだけで切り捨てられるほど、この病院での仕事　は彼女にとって軽いものだったのだろうか。
@ENG:

@IDX:70005
@OFF:0x3542
@SPK:
@JPN:　僕に何も告げないで辞めるのは、まだ分かる。
@ENG:

@IDX:70006
@OFF:0x357c
@SPK:
@JPN:　最初の頃に比べたら、普通に接してくれるようには　なっていたが、仲がいいと言えるほど、僕は彼女と　親しくはない。
@ENG:

@IDX:70007
@OFF:0x35fa
@SPK:
@JPN:　だが、副院長や真魚にまで何も打ち明けずに辞めた　というのは、正直不自然な気がする。
@ENG:

@IDX:70008
@OFF:0x365c
@SPK:
@JPN:　少なくとも、普段あれだけ自分を慕っている真魚に　くらいは相談しても良さそうなものだが……。
@ENG:

@IDX:70010
@OFF:0x386e
@SPK:［真魚］
@JPN:　……そっか。先輩、病院辞めちゃったんだ。
@ENG:

@IDX:70013
@OFF:0x38ce
@SPK:[\protag]
@JPN:　……ああ。
@ENG:

@IDX:70014
@OFF:0x390c
@SPK:
@JPN:　夜のミーティングには、副院長の言葉通り、真魚が　現れた。
@ENG:

@IDX:70015
@OFF:0x3954
@SPK:
@JPN:　真魚に、御堂さんが病院を辞めた理由を知っている　かと聞くと、真魚は御堂さんが辞めたことさえ知ら　なかった。
@ENG:

@IDX:70017
@OFF:0x3a8b
@SPK:［真魚］
@JPN:　でも……でもさあ、こんなのってないと思わない？　お別れも言わせずにいなくなっちゃうなんてさ。
@ENG:

@IDX:70020
@OFF:0x3b1f
@SPK:[\protag]
@JPN:　……そうだな。
@ENG:

@IDX:70022
@OFF:0x3b72
@SPK:［真魚］
@JPN:　昨日だってね、帰り際に『じゃ真魚ちゃん、また明日ね』って言ってたんだよ？　それなのに……酷いよ、先輩……。
@ENG:

@IDX:70023
@OFF:0x3c84
@SPK:
@JPN:　『また明日ね』……か。
@ENG:

@IDX:70024
@OFF:0x3caa
@SPK:
@JPN:　優秀な看護婦であり、患者さんからの評判も良く、　何より、真魚にあれほど慕われていた彼女。
@ENG:

@IDX:70025
@OFF:0x3d12
@SPK:
@JPN:　一晩で御堂さんに仕事を辞める決意をさせたのは、　何だったのだろうか……。
@ENG:

@IDX:70026
@OFF:0x3d78
@SPK:
@JPN:　昨日、別れ際の彼女は笑顔だった。
@ENG:

@IDX:70027
@OFF:0x3da8
@SPK:
@JPN:　こちらを和ませてくれるような、彼女の笑顔。
@ENG:

@IDX:70028
@OFF:0x3de2
@SPK:
@JPN:　それでも今考えてみると、彼女の笑顔にはどこか陰　があった。
@ENG:

@IDX:70029
@OFF:0x3e2c
@SPK:
@JPN:　心の底から笑えていない。
@ENG:

@IDX:70030
@OFF:0x3e54
@SPK:
@JPN:　そんな印象があった。
@ENG:

@IDX:70031
@OFF:0x3e88
@SPK:
@JPN:　御堂さんのいなくなった今だから余計にそう思える　のかもしれない。
@ENG:

@IDX:70032
@OFF:0x3ed8
@SPK:
@JPN:　彼女が何を悩んでいたのか。
@ENG:

@IDX:70033
@OFF:0x3f02
@SPK:
@JPN:　それを僕が知る術は、もうないのだろう。
@ENG:

@IDX:70034
@OFF:0x3f5f
@SPK:
@JPN:　『そんなにつらいなら、辞めてしまえばいいのに』　
@ENG:

@IDX:70035
@OFF:0x3fb1
@SPK:
@JPN:　昨日、彼女がそう言っていたのを思い出した。
@ENG:

@IDX:70036
@OFF:0x3feb
@SPK:
@JPN:　……あれは彼女自身に向けられた言葉……だったの　だろうか？
@ENG:

@IDX:70037
@OFF:0x4045
@SPK:
@JPN:　グルグルと回り始めようとする思考の輪を、何とか　抑え込んで現実に向き合う。
@ENG:

@IDX:70038
@OFF:0x409f
@SPK:
@JPN:　あれこれ悩むのは後でもできる。
@ENG:

@IDX:70039
@OFF:0x40cd
@SPK:
@JPN:　今は目の前のことを片づけてしまおう。
@ENG:

@IDX:70042
@OFF:0x413d
@SPK:[\protag]
@JPN:　……さあ、こうして沈んでても御堂さんが戻ってくるわけでもないし、ミーティングを始めちゃおう。
@ENG:

@IDX:70044
@OFF:0x4258
@SPK:［真魚］
@JPN:　……そう……だね。
@ENG:

@IDX:70045
@OFF:0x429e
@SPK:
@JPN:　溢れそうになる涙をグッと堪えて、ミーティングを　始める真魚。
@ENG:

@IDX:70046
@OFF:0x42ea
@SPK:
@JPN:　今はとにかく前に進もう。
@ENG:

@IDX:70047
@OFF:0x4312
@SPK:
@JPN:　夢の実現のために……。
@ENG:

@IDX:70048
@OFF:0x4338
@SPK:
@JPN:　僕の未来のために……。
@ENG:

@IDX:70050
@OFF:0x4609
@SPK:　　　　　　　　　そして
@JPN:…
@ENG:

@IDX:70051
@OFF:0x4617
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:70052
@OFF:0x4625
@SPK:
@JPN:。
@ENG:

@IDX:70053
@OFF:0x472d
@SPK:
@JPN:　あの仕事が終わってから３ヶ月が経った。
@ENG:

@IDX:70054
@OFF:0x4763
@SPK:
@JPN:　契約期間が過ぎ、僕は約束の報酬をもらうと病院を　あとにした。
@ENG:

@IDX:70055
@OFF:0x47bf
@SPK:
@JPN:　真魚や事務局の真田さんたちは、僕のために送別会　も開いてくれた。
@ENG:

@IDX:70056
@OFF:0x480f
@SPK:
@JPN:　真魚とは今でも連絡を取り合っていて、たまに一緒　に遊びに行ったりしている。
@ENG:

@IDX:70057
@OFF:0x4879
@SPK:
@JPN:　副院長には仕事を続けないかとも誘われたが、何と　なくそんな気になれなかった。
@ENG:

@IDX:70058
@OFF:0x48d5
@SPK:
@JPN:　死体洗い自体は、正直苦ではなくなっていた。
@ENG:

@IDX:70059
@OFF:0x490f
@SPK:
@JPN:　それでも病院に残る気は起きなかった。
@ENG:

@IDX:70060
@OFF:0x4951
@SPK:
@JPN:　突然僕の前から姿を消してしまった彼女。
@ENG:

@IDX:70061
@OFF:0x4987
@SPK:
@JPN:　彼女のことが頭から離れなかったのが、僕が病院を　去る一因だったことは否定しない。
@ENG:

@IDX:70062
@OFF:0x49e7
@SPK:
@JPN:　３ヶ月経った今でも、似た人を見かけたような気が　して、雑踏の中に彼女の姿を求めて立ち止まること　がある。
@ENG:

@IDX:70063
@OFF:0x4a71
@SPK:
@JPN:　御堂悠紀さん。
@ENG:

@IDX:70064
@OFF:0x4a8f
@SPK:
@JPN:　僕が彼女の消息を知ったのは、受験のための模試を　明日に控えた、そんな夜のことだった。
@ENG:

@IDX:70067
@OFF:0x4b5d
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。もしもし？
@ENG:

@IDX:70069
@OFF:0x4bb2
@SPK:［真魚］
@JPN:　もしもし！？　私、真魚！！　すぐテレビ点けて！！
@ENG:

@IDX:70072
@OFF:0x4c1a
@SPK:[\protag]
@JPN:　はぁ？　何言ってんだ、お前？
@ENG:

@IDX:70074
@OFF:0x4c7b
@SPK:［真魚］
@JPN:　いいから早く！！
@ENG:

@IDX:70075
@OFF:0x4cb9
@SPK:
@JPN:　先輩が！！
@ENG:

@IDX:70078
@OFF:0x4dad
@SPK:[\protag]
@JPN:　先輩？　……え！？　御堂さんがどうかしたのか！？
@ENG:

@IDX:70080
@OFF:0x4e22
@SPK:［真魚］
@JPN:　早くテレビ見てよ！！
@ENG:

@IDX:70082
@OFF:0x4f42
@SPK:［アナウンサー］
@JPN:　総合大学付属病院で不法に行われていた人体実験が摘発され、地検特捜部の家宅捜索が行われました。
@ENG:

@IDX:70084
@OFF:0x4feb
@SPK:［アナウンサー］
@JPN:　本日の捜索で、病院の地下に監禁されていたと思われる女性が発見、保護され、直ちに警察病院に搬送されたとのことです。
@ENG:

@IDX:70086
@OFF:0x50a8
@SPK:［アナウンサー］
@JPN:　保護された女性の身元については、まだ情報が入っていませんが、同病院の関係者ではないかとの見方が有力です。
@ENG:

@IDX:70088
@OFF:0x515d
@SPK:［アナウンサー］
@JPN:　女性は、長期にわたる監禁と何らかの薬物投与によってかなりの衰弱が見られますが、警察では回復し次第事情聴取を行っていく方針です。
@ENG:

@IDX:70090
@OFF:0x5228
@SPK:［アナウンサー］
@JPN:　また、死体損壊、遺棄などの容疑で逮捕された同病院の副院長は、かなり錯乱した言動を繰り返しており、精神鑑定の結果次第では心神耗弱が適用され……。
@ENG:

